株式会社 ノースサンド

急成長しても理念が薄まらない会社
―ノースサンドの組織文化の秘密―
人にフォーカスを当てた唯一のコンサルティング会社
2015年に創業した総合コンサルティング会社、株式会社ノースサンド。同社は2026年、おもてなし規格認証(紺認証)を取得した。コンサルティング業界では、論理力や専門知識、キャリアといった「スキル」が重視されるのが一般的だ。しかしノースサンドは、その常識とは異なるアプローチをとっている。
同社が掲げているのは、「人にフォーカスを当てたコンサルティング」である。
スキルやロジックだけではなく、顧客に寄り添い、お客様が本当に困っていることは何か、お客様が何を求めているかを常に考え、スキルだけではなく人間だからこそできる「かゆいところに手が届くようなサービス」を徹底している。
その姿勢を支えているのが、同社のフィロソフィーであり、組織文化である。そしてノースサンドの最大の特徴は、組織が拡大するほどフィロソフィーの浸透度が高まっていることだ。企業が急成長すると、理念は薄まりやすい。人が増え、組織が大きくなるほど価値観の共有は難しくなるからである。しかしノースサンドでは、社員が増えるほど理念の共有が強まり、組織文化そのものが強化されている。
今回、おもてなし規格認証の取得を契機に、ノースサンドのフィロソフィー経営と組織文化、そしてホスピタリティの価値について、前田知紘社長に話を伺った。
取材:おもてなし規格認証機構 代表幹事 渋谷行秀
※記載されている会社概要や肩書き、数値や固有名詞などは取材当時のものです
スキルではなく「人間力」が価値を生むコンサルティング
― コンサル業界ではスキルや経験が重視されるのが一般的です。その中で御社は人にフォーカスした経営をされています。

前田社長:
私は前職の国内大手コンサルティングファームで未経験のコンサルタントとして働き始めたのですが、最初から高いスキルがあったわけではありません。ただ、お客様が真に求めていることを常に考え、課題にフィットできるよう素早く動く。そういう姿勢で仕事を続けていくうちに、評価していただけるようになりました。
そこで気づいたのは、コンサルタントの価値とは高いスキルだけではないということでした。
お客様が本当に求めているのは、困った時に寄り添い、お客様が求めていることにフィットして動ける人なのではないか。
その気づきが、ノースサンドという会社をつくる原点になりました。
「そんなバカな」と「なるほど」は両立するという発想
― 未経験者採用を積極的に行うなど、業界の常識とは異なる取り組みもされています。
前田社長:
正直、業界からは「バカじゃないか」と言われることもあります(笑)。でも私は「バカなる」という言葉をよく使っています。「そんなバカな」と「なるほど」が両立すると、ビジネスはうまくいくと考えているからです。以前、吉原英樹さんの『「バカな」と「なるほど」経営成功の決め手!』という本を読んだときに、この感覚が言語化されていました。
一見すると合理的ではないように見えることでも、実はそこに合理性がある。未経験の若手を採用して、“人間力”で勝負するというのもその一つです。業界では珍しいかもしれませんが、お客様が求めていることにフィットしているからこそ、結果として成長につながっているのだと思います。
フィロソフィー経営への転換
ノースサンドは2019年にフィロソフィー経営へと大きく舵を切った。
その象徴が、同社の行動指針である「8Rules」である。
― フィロソフィー経営への転換には苦労もあったのではないでしょうか。
前田社長:
最初はうまくいきませんでした。人間力は創業当初から重視していたのですが、なかなかご理解いただけず、スキルに偏重した採用をするようになりました。結果、いわゆるスキル重視の人材が増え、理念は浸透せず、組織としてバラバラになってしまいました。
そこで原点に立ち返り、人間力を重視したカルチャーマッチ採用へと舵を切りました。理念が浸透するまでには時間がかかります。すぐに成果が出るものではありません。
ですが、そこを諦めずに続けたことで、少しずつ組織文化が形になっていきました。
組織が拡大しても理念が強まる理由
多くの企業では、組織が急拡大すると理念は薄まりやすい。しかしノースサンドでは、むしろ逆の現象が起きている。社員数が増えるほど、フィロソフィーの浸透度が高まっているのだ。
― 組織が拡大するほど理念が強まっているように感じます。
前田社長:
私たちの唯一の競争優位は組織文化だと思っています。スキルや知識というのは、ある程度の差しか生まれません。
でも組織文化は簡単には真似できません。ノースサンドには、迷わずチャレンジする、そして人の挑戦を賞賛する文化があります。新しい施策をやろうと言えば、社員は皆、前向きに取り組んでくれます。
例えばフィロソフィー会なども、参加者が自発的に集まってきます。こうした組織文化があることで、会社の取り組みが確実に実行される。それが結果として、組織の成長につながっているのだと思います。

毎日のメッセージが文化をつくる
ノースサンドの文化を象徴する取り組みの一つが、前田社長による毎日のメッセージ発信である。
前田社長:
社員全員に向けて、毎日メッセージを書いています。もう1400回以上のメッセージになりました。最初は時間がかかりましたが、今は15分くらいで書けるようになりました。
テーマはその日によって違いますが、日々の気付きや考えを共有しながら、会社が大切にしている思いを伝えるようにしています。
理念というのは、一度伝えただけでは浸透しません。繰り返し言葉にして共有することで、少しずつ組織文化になっていくものだと思っています。
理念は「仕組み」で浸透する
ノースサンドでは理念の浸透を個人の努力に任せているわけではない。組織として仕組み化している点も特徴である。
例えば
- 社長メッセージの毎日発信
- 各拠点で毎月開催するフィロソフィー会
- 理念浸透を目的とした社内大学の開催
- 従業員エンゲージメント調査と改善施策
といった活動が継続的に行われている。理念は時間をかけて浸透していくものだ。
だからこそ、当たり前のことをコツコツ継続することが何より重要だと前田社長は語る。

若手の提案から始まったおもてなし規格認証への挑戦
今回のおもてなし規格認証の取得も、ホスピタリティ・コーディネータ養成講座(HC)に参加した新卒2年目の社員が、その価値を社長に報告したことがきっかけとなった。認証取得に向けたプロジェクトは、その社員と新入社員という若手2人が中心となり主導した。
前田社長:
社員から「こういう制度があります」と聞いて、面白そうだからやってみようと思いました。ノースサンドでは、良いと思ったことはすぐに実行する文化があります。結果として200名の社員がアソシエイト・ホスピタリティ・コーディネータ(AHC)を取得しました。
若手が200名の幹部を育成する
興味深いのは、その研修を、その新入社員が担当したことだ。入社間もない社員が、会社のリーダー層に対して講義を行ったのである。普通の企業では考えにくいことだが、ノースサンドでは自然に受け入れられた。
これは同社の文化を象徴する出来事でもある。迷わずチャレンジし、応援する文化があるからこそ、年齢や役職に関係なく学び合う組織が生まれている。
自分たちの価値を言語化する機会
― 認証取得によってどのような変化がありましたか。
前田社長:
自分たちがやってきたことは間違っていなかった、という確認になりました。またホスピタリティの考え方が整理され、言葉として共有できるようになったことも大きかったですね。
会社が成長するためには、言葉を合わせることが重要です。その意味でも、とても良い機会になりました。

AI時代に残るコンサルティング
AIの進化により、コンサルティング業界も大きく変化しつつある。しかし前田社長は、その変化をむしろ追い風だと語る。
前田社長:
知識やスキルの部分は、AIが代替できる時代になってきました。でも、人の感情に寄り添うことはAIにはできません。だからこそ、人間力がより重要になる。ノースサンドは、AI時代でも必要とされるコンサルティング会社でありたいと思っています。
企業概要
株式会社ノースサンド
2015年創業。IT・DX・業務改革などのコンサルティングサービスを提供する企業。
「人にフォーカスしたコンサルティング」を掲げ、急成長を続けている。https://northsand.co.jp/news/press/2026/0203-press/
前田知紘プロフィール
株式会社ノースサンド 代表取締役社長
国内大手コンサルティングファームを経て2015年にノースサンドを創業。
人間力を軸としたコンサルティングを掲げ、急成長する企業を築く。

事業者情報
株式会社 ノースサンド
| 業種 | 学術研究・専門・技術サービス業 |
| URL | https://northsand.co.jp/ |
| 認証取得 | 紺認証 |
| 取得期間 | 2026年1月 |
| 所在地 | 東京都中央区銀座 |


